日本の住まいになじむ木の表札選び
家の玄関に掲げる表札は、その家の印象を決める非常に重要なもの。武家や商家には江戸時代から、庶民には大正時代に入ってから多く普及されてきたといわれる木の表札ですが、現代では、石やステンレス、アルミやガラスなどさまざまな素材のデザイン性に富んだ表札が作られるようになってきました。そんななか、木の表札の魅力が再考されてきています。日本の住まいになじむ、こだわりの木の表札について、その魅力を紹介しましょう。
木の表札の魅力
木と他の素材で作られている表札との違いは、自然素材ならではのぬくもりと味わいが感じられることです。なかでもさくらやヒノキ、屋久杉、イチイなどの天然木は、高級感があり木目が美しいのが特徴です。この木目の美しさを際立たせるために、ほとんどの表札はあえて着色は行わず、無色透明のオイルステイン塗料だけで加工をしています。木の家に住み慣れてきた日本人にとって、2つと同じものがない木目の味わいや木の質感は、木の表札の最大の魅力と感じられることでしょう。
形や文字へのこだわり
木の表札は、その素材はもちろんのこと、形や文字にもこだわって作られています。玄関に掲げる表札は、家の顔となる重要な部分であることから、従来縁起のよいものが好まれてきました。風水的な観点からも、気の流れを作る玄関に掲げる天然の木の表札は非常によいものとされています。その形は吉寸といわれる家の繁栄を願った縁起のよい寸法で作られており、例えば、横幅は喜び事が多くなるようにとの意味から88ミリ、縦は高く財を集めるようにとして210ミリ、厚さは願望成就を願って30ミリなどです。また、表札の文字は彫刻や書き入れによって作られますが、なかでも「浮き彫り」と呼ばれる彫刻が人気です。この「浮き彫り」は、名前以外の部分を掘り下げ、名前そのものが浮き上がるように彫られたもので、立身出世、一家繁栄の象徴ともいわれています。また、文字の彫り方だけでなく、書家による味わい深い手書きの書体にこだわる人も多いようです。
異素材とのコラボレーション
欧米型の住宅が増えてきた昨今では、純和風な木の表札だけでなく、ほかの素材と組み合わせた和洋折衷なものにも人気が集まっています。例えば、木の土台の上に光沢のあるガラスを載せたものや、つや消しのステンレスと組み合わせたものなどです。木と組み合わせることで、お互いの素材のよさを引き出し、シンプルさだけでなく、おしゃれで個性的な表札へと進化しているのです。
自分たちの家のイメージに合わせて、多種多様な表札を選べる時代になりましたが、そんななかでもどこか温かみのある木の表札のよさが見直されています。素材そのもののぬくもりが感じられる木の表札づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
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